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技能実習の好事例 建設の現場から

技能実習制度についての報道では、法令違反や人権侵害などの悲しいニュースが多く聞かれます。そのため技能実習制度に対して良くないイメージを持っている人も多いようです。ただし、実際の仕事現場で実習生達と仲良くコミュニケーションをしている企業も多くあります。今回はよい人間関係ができ、前向きで楽しい雰囲気を作り、業績的にも発展している企業の好事例として、株式会社OGINOで働く技能実習生の現場のレポートをいたします。

日本で働く技能実習生

2人の実習生がおり、非常に仲良く助け合って働いています。ディエップ君は、2017年9月から技能実習を始めて、2020年9月に帰国予定です。日本に来る前は2年間軍隊にいました。アイン君は2018年7月から技能実習を始めました。ベトナムでは韓国系の携帯電話の会社で働いていました。
2人ともベトナムから来た技能実習生です。技能実習制度を通じて、日本で建設の経験を積むため日々頑張っています。
二人は公私ともに仲が良く、仕事などもお互いに助け合いながら技能実習をしています。サービス精神も旺盛で、カメラを向けるとしっかりとポーズをとってくれます。現場の雰囲気の良さがここからも伝わってきます。

建設現場での作業

和やかで仲の良い雰囲気から一転して、仕事が始まると真面目に黙々と作業をします。マンションを建設するため、内装の改修作業をしています。手慣れた感じで作業をしており、すでに即戦力になっていることがわかります。

技能実習生の上司の言葉

前向きに仲良く仕事を進めてくれる技能実習生の存在は大変ありがたいですね。建設の仕事はきつい面もあるため、正直なところ日本人だと1年もたないことも多いですが、実習生はきつい仕事も本当に頑張りますし、仕事の態度も大変真面目です。また、実習生どうしや他の関係者とも、仲良く、楽しくできる環境を作ることができています。技能実習生を最初受け入れる際は、外国人と一緒に働いていけるか不安もありましたが、今では技能実習生がいない現場は考えられません。実習生は明るく元気に挨拶してくれるので、職場の雰囲気も活性化しました。

実習生を指導するにあたり苦労する部分としては、やはり言葉の問題です。新しい道具の使い方や初めて行う作業について説明する際に、実習生に理解してもらえるまでに時間がかかることもあります。ただし実習生たちは本来は優秀な方々ばかりなので、いったん仕事を覚えたら、そのあとはすごい成果を上げてもらえます。言葉の問題はありますが、作業自体の覚えはかなり早いですね。貴重な戦力になってくれていますし、本当に助かっています。

今まで技能実習生は3年の実習が修了したら帰国していましたが、優秀でやる気のある実習生には、今のように前向きに仲良く楽しく、そして戦力としてもっと長く働いてもらいたいと思っています。今は技能実習3号の制度や特定技能の在留資格も創設されました。こういった制度を利用して技能実習生に長く働いてもらえると、実習生自身も建設の仕事をよりしっかり学ぶことができますし、会社としても長期的な事業戦略が立てられるため大変助かります。

株式会社OGINOの実習生受け入れの実績

株式会社OGINOでは、技能実習生を受け入れるようになってから5年になります。代表取締役の荻野一美は、技能実習生を単なる労働力としてではなく親のような気持で接するようにし、仲の良い、楽しい雰囲気を作れるように努めています。そのため採用が決まった実習生に対して母国の親に挨拶に行くなどのフォローも欠かさないですし、技能実習が終わって帰国した後も連絡を取り続けています。
先日はベトナムで元技能実習生の結婚式に出席してきました。従業員との良い関係や、仲の良さ・信頼関係を感じられることのできた時間でした。人生での大切な儀式である結婚式に招待してもらえるのは信頼関係の証であり、ありがたいことです。
帰国後に建設業で起業し、株式会社OGINOと協業している実習生もいます。日本で学んだ技術を活かして母国の発展に貢献する、技能実習の本来の目的を実現している理想的なケースと言えます。

休憩時間中の実習生達

カメラを向けると、皆さんカメラ目線でポーズをとってしまうのですが、実際はもっとアットホームで仲の良い楽しい雰囲気です。アイン君やディエップ君は「現場での仕事は楽しい」「職場の皆は優しい」と言っています。
実習生たちに「苦労するところは?」と聞いてみると、やはり日本語なのだそうです。建設現場の日本人の先輩たちは出身地も様々なので、同じ日本語でも様々な方言が混じっていて、聞き分けるのに苦労することがあるそうです。そういいながらも、職場の皆さんと楽しそうに団らんしており、職場の雰囲気の良さが伝わってきます。

未来友 理事長 荻野 一美より

外国人雇用の経験がなかったため、技能実習生を受け入れに対して当初は不安な面もありましたが、人間関係づくりや文化理解に努め、仲の良い楽しい雰囲気ができ、職場にも良い影響が大きかったです。今では思い切って決断してよかったと思います。実習生と交流することで日本人従業員の国際化意識も進みました。当社ではベトナムやラオスなどの海外進出を視野に入れているため、外国人の労務管理についてこちらも勉強させて頂いています。
実習生を受け入れるようになって5年ほど経ちます。技能実習と言っても仕事をやってももらうのですから、時には厳しいことを言うこともあります。しかし、実習生には技能実習期間だけの付き合いではなく親になったつもりで接していますし、実習生の帰国後の士就職についても積極的にフォローしていくつもりです。そうすることで実習生の側でも
先月は帰国した元実習生の結婚式に呼ばれました。幸せそうに暮らしている元実習生を見ていると、やはり技能実習生を受け入れて良かったと感じます。
株式会社OGINOではこれからも技能実習生を受け入れていきます。ひとりでも多くの実習生を幸せにしたいし、母国の発展に貢献してもらいたい。そんな思いでいっぱいです。